登山にはまったイヴォンは、岩登りの用具に様々な改良の余地があることに気づく。
そこで鍛冶のノウハウを身につけ、独創的なピトンを製造する。
ピトンとは、岩壁を登るときに打ち込む輪のついたボルトの事。
元々、ピトンは軟鉄製のものをヨーロッパから輸入していたが、一度きりの使用しか想定されていなかった為、ビッグウォールだと何百ものピトンを必要とする。
そこで、抜き取って繰り返し使うことができる鋼製のピトンを開発。
ピトンを含めた登山用品を作り、4月から7月まではヨセミテの岩壁で過ごし、クライミング道具を販売し、食いつないだ。
イヴォンが徴兵されるが幸運にも名誉除隊できる。帰郷後に道具の製作を再開し、クライミング仲間と共に1965年に「シュイナード・イクイップメント」を創業する。
1970年にはアメリカ最大のクライミング道具会社になっていたが、クライミングの人気が高まることによって環境の敵としての道も歩み始めていた。
イヴォンが、クライミングの有名スポット「エル・キャピタン」を久しぶりに訪れると、無垢だった岩がピトンによって激しく変容しているのを見て、ピトン事業から手を引くことを決意。
1972年に、ストッパーとヘキセントリックを開発し、後にスタンダードとなる。