|CONVERSE コンバース|とは、マーキス・M・コンバースが創業したスニーカーブランド。
みんなが知っており、価格の安さから一番身近で有名なシューズブランドでは無いでしょうか?
しかし、(意外にも?)古着屋さんやセレクトショップ等で高い金額で売られていることをよく見かけ、分かりにくくなるブランドの一つでは無いでしょうか?
実は|CONVERSE|には、日本企画とアメリカ企画が存在します。
つまり、日本で発売している商品とアメリカを始めとした世界で発売している商品が違うっていう事です。
そんな身近なのに、混乱させてしまうブランド|CONVERSE|を、
なぜそうなったか?の歴史や、世界一売れている靴「ALL STAR」を始めとした名作、デザインの人気度や色んなブランドライン、見極め方法まで徹底解説をします。
INDEX
|CONVERSE |の価値を見極めるコツ
|CONVERSE|アイテムの価値を見極めるには、主に下記を確認する必要があります。
①型番を調べる
シュータン裏の内タグに型番の記載があり、それを調べればほとんどの場合その商品の価格や価値が分かります。
また、アメリカ企画のものであれば生産年月日も分かるので、判断するには内タグをまず確認して下さい。
タグが無い場合は、ヴィンテージ商品の可能性もありので注意が必要。
左の二つが日本企画のタグで、左が「1B505」、真ん中が「M7650」という型番。右がアメリカ企画で型番が「162065C」で、製造年月が「1905」で「2019年5月に製造された」という意味。
②どこの企画か?ブランドラインは?
日本で販売されている|CONVERSE|は伊藤忠商事傘下のコンバース・ジャパンが企画している商品。
アメリカを始めとした世界各国で販売されているのは|NIKE|傘下の米コンバース社が企画している商品。
コンバース・ジャパンは、米コンバース社の商品の輸入を止めている為、希少性という意味でアメリカ企画の方が価値が高い事が多い。
また、日本企画には|CONVERSE Addict|や|CONVERSE TOKYO|などのブランドラインがあり、それによって価格・人気が変わります。
④年代識別は?
ヴィンテージ商品には内タグが無かったり、型番の記載が無いです。
こういった場合はディテールから年代を判断し、価値を見極めるしかありません。
ヒールラベル・サイドステッチ・インソールなどで判別し、価値を見極めましょう。
このように大まかに価値を見極められます。
ただ、詳しい情報を理解しないと価値の本質には気づけないものです。|CONVERSE|を詳しく解説します。
|CONVERSE |歴史
まずは歴史を振り返ります。
このブランドを好きな人は、このブランドが持つ価値観やその価値観を表現するデザインなどに共感し、好きになっている事が多いです。
では、そのブランドの価値観が生まれた歴史を理解しないと、そのブランドの価値を本質的に理解できません。
それでは、歴史を振り返っていきましょう。
バスケットと|CONVERSE|誕生
マーキス・M・コンバースは、U.S.ラバーカンパニー出身。
そのU.S.ラバーカンパニーは、バルカナイズ製法の父であるチャールズ・グッドイヤーが起源となっている会社である。
降雪量が多く、深い森や湿地帯の続くマサチューセッツ州の地域性に着目し、ラバーシューズを製造する「コンバース・ラバー・シュー・カンパニー」を1908年に設立。
地元民のニーズに応え、徐々に浸透していく。
マーキスは冬季だけでなく、通年で販売が期待できる商品を探していた。
そこで、目を付けたのが「バスケットボール」だ。バスケは、1891年にジェームズ・ネイスミスによって誕生し、瞬く間に全米で人気のスポーツとなっていた。
1917年に「ALL STAR」を発売。
これが世界初の「バスケットシューズ」と言われている。
オールスターとチャック・テイラー
このALL STARに心酔した男が一人。
プロバスケットボール プレイヤーのチャック・テイラーだ。
チャックは、1921年にアドバイザー兼セールスマンとして契約。スタープレイヤーでありながら、全国の高校や大学を回ってオールスターを認知させた。
その後、「バッシュ=コンバース」という図式が出来上がり、その普及活動を評価され、チャックの筆記体サインがアンクルパッチに表記されるようになる。
1946年に星マークの上に「Chuck Tailor」の文字がプリントされるようになった。
ちなみにヒールラベルには、1930年代頃から既に「Chuck Tailor」の文字がプリントされていたようです。
こういった経緯で記載されるようになったので、
1946年以降、全ての「ALL STAR」に「CHUCK TAYLOR」という記載があります。
それをきっかけに「ALL STAR」を「CHUCK TAYLOR」と呼ぶようになります。
「CHUCK TAYLOR」と「ALL STAR」は別物という認識がある人も居ると思いますが、全く同じ商品です。
1976年にヒールパッチが「ALL☆STAR」に統一。それ以前に「Chuck Tailor」という文字がプリントされていた頃のモデルを「チャックテイラー」と呼称して区別することが一般的になりました。
1957年には、ローカットタイプの「ALL STAR OX(オールスター・オックスフォード)」を発売。
オックスフォード大学の学生が履いていたローカットの靴が、モデル名のルーツなのだとか。
これまでハイカットがメインでしたが、オックスフォードの登場を機にローカットタイプスニーカーも人気を集めるようになります。
今でもローカットタイプを「OX」と呼ぶブランドも多く定番化。「ALL STAR」は世界一売れたスニーカーとして今でも輝いている。
実際のギネス認定は|adidas|の「スタン・スミス」。1990年当時で2000万足以上とされるが、オールスターはそれ以上に販売されているのは間違いない。
「無敗の伝説」加入
1972年、|CONVERSE|はB.F.グッドリッチ社のシューズ部門を統合。
これにより、グッドリッチ社の主力シューズだった「ジャックパーセル」も加入。
このジャックパーセルは、チャックテイラー同様シグネチャーモデル(特定の人名を冠した製品)である。
ジャックは、1930年代から活躍したバドミントンプレイヤーだった。
驚きなのは、ジャックは42歳(1945年)で競技生活を終えるまでの間、一度も負ける事は無かったという。
そんな無敗のシューズは、|CONVERSE|加入後もバドミントン等の体育館で使用するシューズで活躍。
その後、カート・コバーンやジェームス・ディーンなどのセレブにも愛され、ファッションとしても受け入れられる。
「ワンスター」日本によって幻から日常へ
テイラーの努力もあり、一時はプロバスケットプレイヤーの8割以上が「ALL STAR」を着用するほどの人気となる
しかし、バスケットボールシューズに転換期が訪れる。
|adidas|が「SUPER STAR」の前身モデルとなる「スーパーグリップ」と「プロモデル」を生産するなど、今まで主流であったキャンバス素材からレザー素材への転換の気配が漂う。
それに対抗する為に、1969年に“スター&バーズ”(★マークと2本ライン)をアッパーに配した「スムースレザーオールスター」、通称「ジャックスター」が誕生。
“スター&バーズ”(★マークと2本ライン)をアッパーに配した「スムースレザーオールスター」、通称「ジャックスター」。この2本ラインは単なる飾りではなく、バスケットボールをプレイするときの足の激しい動きをサポートするためのものだった。翌1970年にはスエードアッパーが、1972年にはスムースレザーのハイカットが発売されるなど人気を博した。
その後、1974年には幻となる「ワンスター」が発売。
ワンスターは、“スター&バーズ”から2本ラインが取り除かれ「スター」のみになった。
しかし、最高級の素材を使用しており、素材の供給面や製造の問題から、わずか2年しか製造されなかった。
それ故「幻」と呼ばれている。
「スター&バーズ」から2本のラインを省き、よりシンプルなデザインになったのが「ワンスター」。色移りを防ぐライニングやクッション性のあるソールが搭載されていた。
1984年に熱いファンの要望を受けて日本人の手で、MADE IN JAPANとして復刻する。
2000年にはドラマ「ビューティフルライフ」にて、オレンジの「ONE STAR」を木村拓哉が履きこなし、大ヒット。
今でも日本での人気は高いが、海外ではあまり見かけることは少ない。
まさかの倒産と日米での断絶
ファッション業界ではふつふつと人気が出始めた|CONVERSE|だが、主戦場であるバスケットシューズでは|NIKE|に後塵を拝していた。
1984年に|NIKE|がかの伝説的なモデル「AIR JORDAN」を発売すると、|CONVERSE|は「WEAPON」を投入。
「ウエポン」は1986年に発売。機能性に加え、豊富なカラーバリエーションを揃えたこのモデルは、当時のトップリーグの両巨頭であり、また最大のライバル同士でもあったラリー・バードとマジック・ジョンソンの二人を起用。全世界で400万足を売り上げる大ヒットするが、「AIR JORDAN」のライバルとしては影が薄かった。
1990年代から|NIKE|や|Reebok|による「ハイテクスニーカー」ブームが始まるとファッション業界でも厳しくなる。
2001年についに米連邦倒産法第11章の適用を申請し倒産。
2002年には、企業再建に資本参加した伊藤忠商事がコンバースジャパンを設立。
2003年には、倒産させた張本人とも思われる|NIKE|によって、360億円という今の活躍を考えれば安すぎる金額で買収される。
これにより、日本とアメリカ(日本以外の国)との|CONVERSE|断絶問題が発生する。
この「日米CONVERSE断絶問題」簡単に言うと、
商標権の問題で日本企画は海外で買えないし、アメリカ企画を日本では買えないという問題です。
実際に裁判の判例もあり、アメリカ企画が日本で買うことはかなり難しくなっている。
アメリカ企画のスニーカー並行輸入を行っていた株式会社ロイヤルと、権利を持つ伊藤忠商事およびコンバースジャパン株式会社との間で争われた「コンバース訴訟」において、知財高裁は2010年、伊藤忠側の訴えを全面的に認める判決を出した。そのような判例が出たため、日本未発売モデルが多数存在するにもかかわらず、2010年以後は並行輸入メーカーによる輸入販売はできなくなった。
また、2011年8月に東京税関において、日コンバースからの米CONVERSEシューズに関する輸入差止申立てが受理され、それ以後は販売目的ではない個人輸入に関しても、全て税関で没収されることになった。個人が海外で直接買ったものを国内に持ち込む場合も、税関で没収される恐れがある。
|CONVERSE |
年表
ラバーシューズからバスケットボールシューズを経て、
代表的なスニーカーブランド になるまでの歴史
'08
|CONVERSE|
スタート
マーキス・コンバースがコンバース・ラバー・シュー・カンパニー設立。
降雪量が多く湿地帯の続くマサチューセッツ州の地域性に着目し、
ラバーシューズを製作・販売する会社として誕生。
'17
「ALL STAR」
誕生
1917年、ラバーシューズの販売が雪の多い冬場に集中することから、
通年で販売出来る商品の必要性を感じてバスケットシューズの開発。
'35
「Jack Purcell」
誕生
バドミントンプレイヤーのジャックパーセルのモデルとして誕生。
元々、「ジャックパーセル」はスポルティング社より販売され、
1950年代にB.F グットリッチ社で販売。
1972年にコンバースとB.F.グッドリッチ社のシューズ部門統合により、
定番アイテムの1つとなる。
'46
「Chuck Tayler」
サインが入る
チャックテイラーは、オールスターに惚れ込み11年間のプロ生活で愛用。
そればかりかシカゴ営業所にてアドバイザー兼営業マンとして契約。
その功績を称えて、1946年に「ALL STAR」のロゴにサインが入る。
'57
「ALL STAR OX」
誕生
1957年にバスケットプレイヤー達からアドバイスを受けて製作。
「OX」とは、ローカットの事。
これをキッカケに60年代には8割以上のシェアを獲得。
「OX」と呼ぶのはオックスフォード学生がよく履いていた為。
'74
「ONE STAR」
誕生
'86
「WEAPON」
誕生
1986年、バスケットシューズの名作「WEAPON」が発売。
くるぶしをホールドするY字型のサポートシステムを搭載したシューズ。
AIR JORDANに対抗して出したシューズでもあり、
ライバルであったラリー・バードとマジック・ジョンソンの二人を起用。
その広告戦略でも話題を集め、全世界で400万足を売り上げる大ヒット。
'01
|CONVERSE|
倒産
2001年1月に倒産。
伊藤忠商事が商標権を取得し、2002年にコンバースジャパンを設立。
2003年に|NIKE|が360億円で買収。
'08
|CONVERSE Addict|
スタート
2008年に日本の独自企画として|CONVERSE Addict|がスタート。
'15
|CONVERSE TOKYO|
スタート
2015年にメルローズと協業で|CONVERSE TOKYO|スタート。
「TOKYO」だからこそ表現できるカルチャーやファッション、
「JAPAN」だからこそ実現できる技術を大切にしながら、
あたらしい価値やライフスタイルを提案するアパレルを展開。
|CONVERSE |代表的なアイテム
オールスター | ALL STAR
参考価格 ¥5,800〜¥16,000
1917年から発売したバスケットボールシューズ。アメリカのプロバスケットプレーヤー「チャールズ・H・テイラー」がオールスターを着用・普及への貢献。その貢献を称えて、1946年にロゴマークに筆記体サインが入れられる。
オールスターには主に4つの種類に分けられる。
・現行ALLSTAR
一般的に売られているオールスター。定価は約5800円。
・ALLSTAR J
MADE IN JAPANのオールスター。定価は約12,000円
・CT70
一般的に1970年代までのオールスターの事を「チャックテイラー」と呼ぶ。特に70年代前後のチャックテイラーが品質が高く、復刻品を|NIKE |がアメリカで販売。版権の問題で日本では購入出来ない。定価は85ドル。
・Addict Chuck Tayler
日本企画の最高級ライン|CONVERSE ADDICT コンバースアディクト|が生産。60年代のオールスターをモデルに復刻。定価は約16,000円。
ジャックパーセル | Jack Purcell
参考価格 ¥6,380-
1932年にスポルディング社が製造・開発された、バドミントン選手のジョン・エドワード・ジャック・パーセルの為に作られたバドミントンシューズ。1935年に更なる機能性向上の為、世界初の空気入り自動車用タイヤを発明したB.F.Ggoodrich(B・Fグッドリッチ)社にスニーカーの開発を依頼。
この頃から、つま先のラインが入ったデザイン「スマイル」が採用。また、もう一つの特徴として、かかとのロゴデザインにある「ひげ」。1933年にB.F.Ggoodrich社が独自に開発し特許を取得していた、インソールの土踏まずにパットを施すことで高いクッション性と姿勢の安定をもたらす技術が「ヒゲ」のデザインの原点。
ワンスター | ONE STAR
参考価格 ¥24,200-
1974年に開発され、1975年までのわずか2年間しか製造されなかった事で「幻」と呼ばれるバスケットシューズ。
プロユースということで、スウェードアッパーからスタートしたワンスターはスムースレザー仕様にグレードをアップ。当時、一定以上のクオリティーを満たしたレザーのみを使用していたため、素材不足により需要に応えることが出来なくなり廃盤。この歴史から多くの人の憧れになり、1984年にMADE IN JAPANで復刻。
現在でも、現行は「MADE IN JAPAN」のみ。インドネシア製も出回っているがこちらは価値が低い。
|CONVERSE |ブランドライン
CONVERSE Addict|コンバースアディクト
2008年にスタートしたコンバース ジャパン企画の最高級ライン。
ADDICTは「依存する、中毒」を意味する。
「日本の技術でアレンジ復刻するなら」という声からできたモデルの為、
オリジナルに無い機能性を高めたディテールを採用。
インソールは取り外し可能で、クッション性の高い「ポロン」というウレタン素材を使用しているので、「MADE IN JAPAN」よりもさらに履き心地が良い。
ソールには防滑性、耐摩耗性に優れていている「ビブラム(Vibram)」ソールを使用。
三ツ星ヒールパッチ、プレイヤーズネーム、シャープなトウキャップなど、1960年代のチャックテイラーや1970年代のジャックパーセルに見られるシルエットやディテールを踏襲しつつ、ビブラムソールやアウトラストを採用するなど、美しく機能的に昇華させたアイテムが人気。
CONVERSE TOKYO|コンバーストウキョウ
メルローズと協業して2015年にスタートしたライン。
東京を代表するデザイナー・クリエイターを中心に“TOKYO”だからこそ表現できるカルチャーやファッション、“JAPAN”だからこそ実現できる技術を大切にしながら、新しい価値やライフスタイルを提案。テーマは、「歴史性と時代性を併せ持つ、ベーシックでクリエイティブなライフスタイル」。
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