ファッションの中で一番歴史が古いと言われる「シャツ」。

元々、一部の貴族が着用するドレスとして生まれたが、カジュアルダウンされ世界中の人が着る洋服となる。

それだけに、
「こういう場には、どういうシャツを着て行けば良いんだっけ?」
「このシャツにはどんな服が合うんだっけ?」
となるのも自然な事。

シャツのコーディネートをマスターするには、シャツの歴史・襟や袖のデザインの意味・素材等を理解する必要がある。

「そんな面倒臭いならシャツを着ない!」

それが出来ないのが「シャツ」。
どう避けても着ないといけない状況になってしまい、朝晩冷える時期は羽織りたくなる。

そんなシャツを上手く着こなす為に、「ドレス」「カジュアル」を軸に丁寧に解説していきます。

INDEX

シャツ
見極め方法

「ドレス」と「カジュアル」
TPOの見極め方法3点

と言っても、丁寧に解説されるのもノーセンキュー。

とりあえず、「何が良くて、何がダメなのさ」と要点だけ押さえたい人も居ると思いますので、簡単に解説します。一言で言うと、ダメなシャツの着こなしはTPOに合ってない事。

抑えておきたいのは「ドレス」「カジュアル」の見極め。

ドレスとは「正装」と言う意味で、フォーマルな場所(冠婚葬祭やオフィス)で着るシャツはドレスシャツ。

それ以外で着るシャツであれば、カジュアルシャツと考えてもらって良いと思います。

それでは、見極めする為の2つを解説します。 

見極め方法その1「起源」
簡単に言いますと、ヨーロッパで作られた「ドレス」文化を、アメリカが機能を追求し「カジュアル」化していきました。

その為、ドレス=ヨーロッパ起源の洋服。カジュアル=ヨーロッパ起源以外(アメリカ中心)の洋服。という事が多いです。
フォーマルな場所であればヨーロッパ起源の洋服を着用しておけば間違い無いでしょう。

見極め方法その2「裾」
裾をボトムに入れる(タックイン)用に作られているシャツと、裾をボトムから出す(タックアウト)用に作られたシャツがあります。

基本的に、タックイン用に作られているシャツは「ドレス」。タックアウト用に作られているシャツは「カジュアル」。

それでは、タックイン用とタックアウト用の違いは、「長さ」と「ディテール」で判断出来ます。

「長さ」
タックイン用のシャツは、タックアウトしないように着丈が長めに作られています。
基本的には、着用した時にお尻の大部分が隠れてしまうものはタックイン用のシャツとして考えた方が良いでしょう。

ヨーロッパでは、ドレスシャツ=下着として扱われてます。そもそも、昔はボトムがなかったので、ドレスシャツはボトムとしての役割を持っていました。今より裾が長く、膝まで覆う丈があり、その後ボトムの中に入れ込み着用していた。ドレスシャツの丈がボトムの中に入れる長さで作られているのは、当時の名残りと言われてます。

「ディテール」
裾の形を見れば、タックアウト用のシャツを見分ける事が出来ます。
大きくはラウンドカット、ボックス(スクエア)カットの二つがあります。
ボックスカットであれば、タックアウト用ですので、カジュアルに着るようにしましょう。

厳格にドレス・カジュアルの見極めをしようとすると、

①シャツの種類×②素材の種類×③襟型のデザイン

を考えないといけません。
また、昔に比べてTPOに対して緩くなっているのも事実。オンオフで使えるアイテムにする為に、①②③のドレス 度とカジュアル度を調整してバランスを取る事も重要です。ひとつひとつ解説していきます。

基礎の基礎にして一番重要!
①シャツの種類

まずは、一番重要である①シャツの種類を説明します。

シャツには、大きく分けるとドレスシャツ、カジュアルシャツとなります。

カジュアルシャツの中でも、スポーツウェアから発展したものや、民族衣装から発展したもの、労働者が着ていたもの等、その起源によってシャツが持つ意味も変わってくる。
例えば、アロハシャツもハワイでは正装として扱われるが、日本ではそういった風に扱われる事は無い。そう言ったように歴史と紐づいているので、一つ一つ丁寧に説明する。

【フォーマル|Formal】

フォーマルな場所(冠婚葬祭やオフィス)で着る事を前提として作られたシャツ。

ワイシャツ|Dress shirt

  ドレス   ★★★★★
カジュアル ★☆☆☆☆
   価   格   ★☆☆☆☆

ドレスシャツとワイシャツはほぼ同義です。
また、ワイシャツとは「White shirt|ホワイトシャツ」が訛ってワイシャツと呼ばれるようになります。
また、「カッターシャツ」は|MIZUNO ミズノ|創業者水野利八が命名した商品名。MIZUNO が関西拠点だった為、関西ではカッターシャツと呼ばれる事が多い。

日本のワイシャツには胸ポケットが付いてますが、シャツは下着という価値観がある欧米では理解されない。
欧米のポケット付きシャツ、カジュアルなシャツと見られ、ビジネスシーンには不向きと考えられる。

【スポーツ|Sports】

スポーツウエアが起源で一般化したシャツの総称。
特に、イギリスで生まれたスポーツ「ポロ」が起源のものが多い。
面白い事に、起源は「ポロ」だがポロで着られてた訳では無く、ポロウエアを参考に改良が行われたシャツである。

「スポーツシャツ」と言われると、かなりスポーティーなシャツを思い浮かべると思うが、|Brooks Brothers ブルックスブラザーズ|では、ボタンダウンシャツを全てスポーツシャツと呼ぶ。

ポロシャツ|Polo shirt

  ドレス   ★★☆☆☆
カジュアル ★★★☆☆
   価   格   ★☆☆☆☆

テニスウエアがルーツで、鹿の子編み素材で作られた襟付きのシャツ。
プルオーバータイプのものが多い。

1927年に|LACOSTE ラコステ|創業者のルネ・ラコステ氏が、ポロで着られていたウエアをヒントにテニスウェアとして考案。
その後、1930-40年代に、イギリスの伝統競技「ポロ」がユニフォームとして採用し、「ポロシャツ」という名前となる。

オックスフォードシャツ | Oxford shirt

  ドレス   ★★★★☆
カジュアル ★★★★☆
   価   格   ★★☆☆☆

スコットランドの紡績会社が製作し売り出した生地「オックスフォード・クロス」で作られたワイシャツの事。

このオックスフォード・クロスは、タテ・ヨコの綿の糸を2本ずつ引き揃えた平織の薄地織物。比較的厚手ですが、柔らかく美しい光沢感があり、ふっくらとした風合いがあります。また、シワになりにくく丈夫さがある為、スポーツシャツとして使われる事があった。

また、オックスフォードシャツの襟型はボタンダウンが基本とされている。
このボタンダウンカラーはポロの試合を見た|BrooksBrothers ブルックスブラザーズ|創業者の孫ジョン・E・ブルックスが発明した。

オックスフォードシャツはドレスシャツに機能性を付加させたシャツ。
オンオフでも使えてかなり万能なシャツではあるものの、冠婚葬祭には合わないので気をつけたい。

ボウリングシャツ | Bowling shirt

  ドレス   ★☆☆☆☆
カジュアル ★★★★★
   価   格   ★★☆☆☆

1950年代に生まれたボーリング時に着用していたシャツ。当時のロックンロールブームと相まってファッションアイコンとして取り入れられた。大胆なカラーや刺繍、ワッペンなどが付いていることが多く、胸元がオープンカラーになっているのが一般的。

【ワーク|Work】

仕事の時に着る用で作られたシャツ。

 

ワークシャツ | Work shirt

  ドレス   ★☆☆☆☆
カジュアル ★★★★★
   価   格   ★★☆☆☆

米国がゴールドラッシュで沸いた1850年代に誕生したといわれるその名の通り作業着。
炭鉱夫やファーマー、ペインターといった丈夫な服を求める労働者たちに幅広く親しまれた。工具の収納に便利な両胸ポケットなどのデザインと、キャンバス、デニム、ツイル、シャンブレーなどの耐久性が高い生地が特徴。また、着脱性を高めるため、ジップやスナップボタンを採用したモデルも多く見られる。

ネルシャツ | Flannel shirt

  ドレス   ★☆☆☆☆
カジュアル ★★★★★
   価   格   ★★☆☆☆

フランネル生地で作られたワークシャツ。
毛織物素材の為、冬場に活躍する。
フランネル生地は、17世紀後半にウェールズで生まれ、フランスで作り始められた。

1930年代には、アメリカで|BIGMAC ビッグマック|や|FiveBrothers ファイブブラザーズ|などが発売される。当初は農場、林業などの労働者が着用する。

ミリタリーシャツ | Military shirt

  ドレス   ★☆☆☆☆
カジュアル ★★★★★
   価   格   ★★☆☆☆

軍隊用に開発されたシャツ。 フラップつきのパッチポケット、ワッペン、肩章(エポーレット)といった仕様が特徴的。ディテールは多種多様。ただし、共通してミリタリーテイスト独特の男っぽさとシャツならではの適度な品格を備えているのが魅力。

C.P.O.シャツ | C.P.O. shirt

  ドレス   ★☆☆☆☆
カジュアル ★★★★★
   価   格   ★★★☆☆

海軍下士官に支給されるシャツ型アウター。
CPOは、英語の「Chief Petty Officer(チーフ・ペティ・オフィサー)」の略。 「チーフ・ペティ・オフィサー」とは、「海軍下士官」を指す。
素材は、メルトン生地、ウール・ポリエステルとの混紡の物がある。
アンカー(錨)マーク入りの大きなボタンと、両胸のボタン付きフラップポケットが特徴。
「C.P.O.ジャケット」とも呼ばれる。

【民族|Ethnic】

民族や文化によって生まれたシャツ。特に南国の暖かい地域で生まれており、風通しが良いオープンカラーのシャツが多い。

 

アロハシャツ | Aloha shirt

  ドレス   ★★☆☆☆
カジュアル ★★★★★
   価   格   ★★★☆☆

元々着物だったとされるハワイ生まれのシャツ。
1868年、サトウキビ畑で働く労働者としてハワイへ移住する日本人が出始める。
その移民が反物をシャツに仕立てて着用するようになり、1904年に宮本長太郎が「ムサシヤ」という洋服屋をホノルルに創業。
米国本土からの観光客が土産として買って帰るようになり、1935年に「ムサシヤ」が「アロハシャツ」名称で新聞広告に出したことで広まる。しかし、中国系商人のエラリー・チャン氏によって商標登録される。

素材は、1960年代まではシルク・レーヨンが主流だったが、現在は生地が強いポリエステル・コットンが主流。
ボタンは、ヤシの木やヤシの実(ココナッツ)製のみが「アロハシャツ」とされる事もある。ただ、1930年代にはすでにバンブー(竹)製のボタンやシェル(貝殻)で作られたボタンが使われていた。1950年代の金属製ボタン、それも紋章入りのものも貴重品として扱われている。

また、ハワイでは正装として着られる。
葬儀の際には弔意を表す意味で「万物の終わり」を意味するラウハラの葉の柄の入ったもの、結婚式の際には絡まり合いながら伸びることから「結ぶ」という意味を持つマイレの葉の柄、船出や事業の始まりの際には「偉大なキャリアのスタート」を意味するウルの木の柄の入ったものが良いとされる

機能性に影響を与える
②素材の種類

ブロード | Broad

  ドレス   ★★★★★
カジュアル ★☆☆☆☆
   価   格   ★★☆☆☆

平織の織物生地。
経糸(たていと)と緯糸(よこいと)に同じ太さの糸を使用して、たて糸をよこ糸の倍くらいの密度に織った平織りの生地。高級シャツや高級ブラウスなどに使われる、薄地コットンの代表的な織物。表面になめらかな光沢があり、高い番手になるほど光沢が増す。
50番手のものが多く使用され、80~120番手になると上質な高級感がある。ポプリンともいう。

オックスフォードクロス | Oxford cloth

  ドレス   ★★☆☆☆
カジュアル ★★★☆☆
   価   格   ★☆☆☆

平織の織物生地。 経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を2本ずつ引き揃えた生地。比較的厚地で光沢があり、織目がはっきりしているのが特徴。ソフトで通気性があり丈夫。ボタンダウンシャツによく用いられる。 19世紀にスコットランドの紡績会社がオックスフォード等の名門大学の名前を生地の名前にして売り出した事により、この名になる。

キャンバス | Canvas

  ドレス   ★☆☆☆☆
カジュアル ★★★★★
   価   格   ★☆☆☆

平織の織物生地。
太い綿や麻の糸を使って緻密に織った織物のことで、厚地で強くて丈夫なのが特徴。
ワーク系のアイテムに使われる事が多く、ワークジャケットやスニーカー、トートバッグ等に使われる。

フランネル | Flannel

  ドレス   ★★★☆☆
カジュアル ★★★★★
   価   格   ★★☆☆

平織/綾織の織物生地。
ウールと綿、ウールと合成繊維から作られることが多い。
フランネル生地は、17世紀後半にウェールズで生まれ、フランスで作り始められた。

スーツ、シャツなどに用いられる事が多い。イギリスのフランネルは平織りで毛羽が軽い。一方ドイツでは綾織りで毛羽が多く、柔軟で弾力性・保温性に優れている。
フランネルの一種で厚手の「フラノ」は、羽が施されておりスーツ、スカート、ズボンなどのアウター用素材として用いられる。一見するとフェルトのような風合いがあり、軽くかつ保温性に優れるので冬に多用される。

メルトン | Melton

  ドレス   ★★★☆☆
カジュアル ★★★★★
   価   格   ★★☆☆

平織/綾織の織物生地。 充分に縮絨させて表面にけばをだし、短く刈りそろえる(メルトン仕上げ)。 メルトンには、ウールで作られたメルトンウールと化学繊維とウールの混紡で出来た混紡メルトンがある。 厚地で硬めの触感が特徴で防寒用に適しているため、コートやジャケット、軍人の制服などに用いられる。薄地で軽めの婦人用のものはメルトネットと呼ばれる。英国のキツネの狩猟地メルトンモーブレーに由来する説と、この織物をはじめて織ったハローメルトン二世の名に由来するという説がある。

鹿の子編み | Dappled weave

  ドレス   ★★☆☆☆
カジュアル ★★★★☆
   価   格   ★☆☆☆

平編みの変形組織のひとつ。 鹿の子供の背中にみられる白いまだらのように見える編地。 表目と裏目をタテ・ヨコ交互に組み合わせて編むことにより、表面に隆起や透かし目を作り、編み目柄をあらわしたもの。 その独特の表面組織から、肌への接面積が少なく、さらりとした風合と、優れた通気性が特徴。 ポロシャツでよく使われる。

これで決まる!?
③襟のデザイン

シャツの襟は、主に「襟羽」「台襟」「剣先」のパーツで構成されている。
特に「襟羽」は、ドレスシャツの印象を決定付ける最も重要な部分で、たくさんバリエーションがある。

襟のデザインをひとつひとつ解説する。

レギュラーカラー | Regular collar

  ドレス   ★★★★☆
カジュアル ★★★★☆

基本的で万能な襟型。
ビジネスはもちろんのこと、面接、お悔やみ事などにも対応。

襟先の長さ:70mm~75mm、襟先の開きの角度:75~90度、台襟の高さ:30~38mmが標準的なデザインとなります。

襟の開きが狭く、きっちりした印象が出る為、信頼される必要のあるシーンで着用する事がおすすめ。

ワイドカラー | Wide collar

  ドレス   ★★★★☆
カジュアル ★★★

基本的にはビジネスシャツで使われる襟型。

襟先の開きの角度が広く、100~120度。
英国のウィンザー公が愛用したことから「ウィンザーカラー」とも呼ばれています。
襟の開きが大きく、首元がすっきり見えるので、ネクタイはノットを大きめに結んぶか、しっかりとした生地のものにするとこなれた印象を与えられる。

ボタンダウンカラー | Bottan down collar

  ドレス   ★★★
カジュアル ★★★★☆

スポーツシャツが起源で、襟が捲れ上がらないように生まれた襟型。

ボタンダウンカラーは、|BrooksBrothers ブルックスブラザーズ|創業者の孫ジョン・E・ブルックスが発明。ポロの選手が襟を留めていた事を参考にしたと言われている。

ドレスシャツでは、オックスフォードシャツで使われる事が多く、ドレスシャツに素材と襟型に機能性を付加させたシャツ。
オンオフでも使えてかなり万能なシャツではあるものの、冠婚葬祭には合わないので気をつけたい。

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ラウンドカラー | Round collar

  ドレス   ★★☆
カジュアル ★★★★☆

襟先が丸くカーブしたデザインの襟型。丸襟とも呼ばれる。

一般的なデザインの襟よりマイルドな印象を与え、堅苦しい雰囲気をやわらげます。そのためオフィスカジュアルなどで人気があるクラシックな襟型。

バンドカラー | Band collar

  ドレス   ★★☆
カジュアル ★★★★★

ネックラインに帯(バンド)状の襟が付いている襟型。

スタンドカラーはネックラインに沿って立てた折返しのない襟の総称で、バンドカラーはスタンドカラーの一種。襟のないノーカラーとも似ていますが、厳密には別物。
1300年以降にフランスのノルマン地域の貴族により、寒さをしのいだり、ノーカラーの補強のために考案されたとされ、現在のスタンド・カラーの起源とも。

カジュアルシャツに多くみられますが、近年ビジネスカジュアルの浸透により人気の襟型。

オープンカラー | Open collar

  ドレス   ★☆☆
カジュアル ★★★★★

台襟がなく、首元が開いた状態になる襟型。日本では開襟とも呼ばれる。 通気性が良く、高温多湿の地域で使われる襟型。 正確な発祥は不明であるものの、日本で開発された襟型とされる。1930年代に衛生学者である戸田正三博士が「戸田式開襟シャツ」を広めたとされる。
解説は以上となりますが、シャツで伝えたい事は、

正装から生まれ、カジュアルになったシャツ

どんな場所にでも、堂々と羽織られるようにしっかり理解して欲しい。

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